東京マラソンが中止を発表しました。市民ランナーの部は2年連続の中止。コロナ禍の影響でこの秋も、福岡マラソン、神戸マラソンなど、全国から人が集まる大規模なイベントが延期や中止に追い込まれています。来年以降は徐々に元の状態に戻ると思いますが、こんな時こそ地元の魅力を再確認して、地元で楽しめることを模索する時だと思うのです。
私は2年前から長崎県時津町の観光ルート開発アドバイザーをしています。時津町は長崎市の北隣で人口は3万人弱。大村湾の南端に面した小さな町ですが、工場や大型商業施設も多く、長崎市から通ってくる人も多いまち。
目の前には穏やかな大村湾が広がり、あじや牡蠣などの新鮮な海の幸が、港にある漁協の直売所に並んでいます。南西側に350~390mの山が連なる鳴鼓岳。先日、鳴鼓岳のウォーキングコースを歩きました。急な坂道ですが、琵琶の木々を眺めたり、ドングリを拾ったり。曼殊沙華の蜜を吸うアゲハ蝶の写真を撮りながら、秋風が心地よくて「鳴鼓岳 アゲハも時を 楽しんで」なんて俳句を作りました。「ドングリはイノシシが民家に現れないように植えているんですよ。」と企画財政課の鬼塚洋平さん。とっても楽しい時間でした。また海沿いのウォーターフロント公園(1周1200mの遊歩道や芝生の広場)を気持ちよくジョギング。つくづく時津町は、住む場所としても、訪れる場所としても素晴らしいと思ったのです。
そういえば、私の故郷いすみ市(千葉県)は田んぼと里山しかないような田舎だと思っていました。でも首都圏で移住したい場所のトップクラスに。地元の魅力を発見、発信してくれるのは案外よそから来た人なのかもしれません。
(共同通信/2021年9月27日配信)