果物屋さんに葡萄が並びはじめた9月半ば、東京医科歯科大学へ。東京都理学療法士協会主催の公開講座が開かれました。歩行訓練をする平行棒や、様々な器具が並ぶリハビリテーション室で私はパソコンの前に座ってリモートでお話を。理学療法士や市民ランナーの方々が多く聞いてくれました。
東京オリンピック・パラリンピック期間中は理学療法士が約800人、試合会場や練習会場、選手村で怪我への対応や救護、テーピング、スポーツマッサージ等を行いました。東京都理学療法士協会スポーツ局次長の鈴木亨之さんによると「主要国は、自国の医師、看護師、理学療法士が帯同していますが、途上国などの皆さんからは喜ばれました」と。鈴木さんたちは幕張のフェンシング会場にいましたが、「エジプトチームにとても頼りにされましたよ」と。ですから日本とエジプトが対戦した時には、複雑な気持ちになったそうです。「選手の体をベストの状態に」という気持ちに国境はないのでしょう。
陸上で東京パラリンピックに出場した松本武尊さん(20歳・T36クラス)は、400mハードルの選手だった高校生の時に、脳の病気を患い体に麻痺が残りました。でも理学療法士の熱心な指導の甲斐あって陸上競技に復帰。400mで7位入賞。100mでは12秒61の自己ベストをマークしました。パリでの活躍が期待されます。
パラスポーツは若手選手の発掘が課題です。理学療法士はリハビリをはじめ、事故や病気で体に障害が残ることになった患者さんに対して、生活の質を高めるための機能回復を指導しています。これからより連携を深めて、パラスポーツの普及と選手発掘を進めていきたいと思います。
(共同通信/2021年9月13日配信)