6月初旬、日本障害者スポーツ協会はオフィシャルパートナー(協賛企業)の皆さんへの報告会を、オンラインで開きました。冒頭の挨拶で鳥原光憲会長は「この10年でパラスポーツの環境は大きく変わりました」と、協賛企業の方々に感謝の気持を。そして「東京大会の後、更に発展させることが大事です」と力強く話されたのです。続いて、高橋秀文専務理事が発表した「2030年ビジョン」は、活力ある共生社会へ向けて、パラスポーツの持つ力が感じられるものでした。
その後、私は「ファンを一緒に増やしましょう」とお話を。3年前から日本パラ陸上競技連盟の会長になり、様々な大会を観に行っています。そこで感じるのは、競技場の中に共生社会があるということです。義足、車いす、視覚障がい、知的障がいの選手たち、彼ら彼女たちの競技力の高さには驚かされます。様々な困難を乗り越えてきた人間力も加わり、観ている人に勇気を与えてくれるのです。コロナ後には、ぜひ多くの人に競技場に足を運んで欲しいと思います。
協賛企業の中には、家族でパラスポーツを観戦する時に、宿泊費などの補助が出る会社も。2年前、岐阜で行われたジャパンパラ陸上に、トヨタ自動車に勤務する弟が家族と一緒に観戦に訪れました。当時8歳だった甥っ子は、義足の選手に対して「(義足を付ける)足は痛くないの?」など気になったことを次々と質問し、私はドキドキしました。でもそんな甥っ子が大会後には何事にも積極的に取り組むようになったのです。
学校でのパラ教育に加えて、企業が勧めるパラスポーツ観戦は、社員や家族の意識を高めます。多様性が自然な形で社会に広がっていって欲しいと思います。
(共同通信/2021年6月7日配信)