母の日に、国立競技場で陸上のテストイベントが開催されました。本番さながらボランティアを含む1600人以上のスタッフが、競技運営や記録、マスコミ対応等々33のセクションに分かれて動きました。本番でのスムーズな運営のため、1競技終わる毎にグループで話し合う姿がみられたのです。
札幌に続き世界陸上競技連盟会長のセバスチャン・コーさんが視察に。記者会見では「陸上競技は母のような存在」と。あらゆるスポーツの産みの親だという意味だと思いますが、本当にスピーチの上手な方だと感じます。そして映画監督の河瀬直美さんの姿も。河瀬さんはわざわざグラウンドまで降りてきて、トラックの感触を味わっていました。
この日、3000m障害で三浦龍司さん(順天堂大学)が日本記録を達成。「風の影響もなく、走り易い競技場です」と話しました。確かにサブトラックではテントが揺さぶられる程の風だったのです。
そしてこの日のトリは、女子5000m。五輪出場が内定している新谷仁美さんと廣中璃梨佳子さんに注目が。しかし、勝ったのは萩谷楓さん(エディオン)でした。ラスト600mでスパートして日本人トップの3位に。レース後、萩谷さんは「先にスパートされると体が固くなってしまうので、その前にと思いました」と。耳元には枝豆のピアスが揺れています。どうして枝豆?と聞くと「皮を破りたいと思ったから」と微笑みました。新谷さんと廣中さんに勝ったことは大きな自信となるでしょう。お母さんの朱見さんは、楓さんの大会はほぼ全て観にくるそう。コロナ禍でそれが出来ないことを寂しがっているそうです。そんなお母さんに最高の贈り物になりました。
(共同通信/2021年5月10日配信)