源平合戦の地、屋島が見守る中、4月24、25日にジャパンパラ陸上競技大会が高松市で開催されました。選手達にとって、東京パラリンピックに向けてのラストチャンス。しかし新型コロナウィルス感染予防のため無観客に。「申し訳ないですね。子ども達も楽しみにしていたのですが…」と、高松市長の大西秀人さんも無念の表情でした。というのも高松は、2年半前の日本パラ陸上の時には2日間で5600人のお客さまが観戦に。強化合宿もし、選手は地元の小学校を訪れて陸上指導をするなど市民の方々との交流が深く、故郷のような場所なのです。
そんな相性の良い場所のお陰でしょう。天候にも恵まれた2日間で、好記録が続出。アジア新記録9、日本新記録25、大会新記録56、大会タイ記録1です。また知的障がいの部、聴覚障がいの部の選手も活躍し、オールパラ陸上の一体感が嬉しかったです。
辻紗絵さん(T47)が400mで2年ぶりに自身の持つ日本記録を更新。「コロナ禍で時間が出来、水野(洋子)コーチとフォームの見直しができました」と辻さん。空気抵抗を感じていた義手を外し、バランスを取るための重りを腕に巻いての出場でした。また大島健吾さん(T64)は100、200mで2冠に。100mはアジア新記録。高校時代はラグビー選手だった大島さんは名古屋学院大で松田克彦さん(十種競技・93世界陸上代表)の指導を受けています。「ラクビーで鍛えた筋肉を陸上に作り変えて強くなりました」と松田さん。強化委員長の指宿立さんも「向かい風の中でさすが。MVPは大島選手!」というほど。屋島の合戦では弓の達人那須与一が有名ですが、今回扇の的を射抜いたのは大島さんでしょう。
(共同通信/2021年4月26日配信)