1964年の東京五輪でサッカーの予選会場となった駒沢の競技場。隣の体育館ではバレーボールで東洋の魔女が金メダルを獲得しました。その駒沢オリンピック公園で3月19日、20日の両日、日本パラ陸上競技選手権を開催。「駒沢(大学)は箱根も優勝しましたからね。キテますよ~、選手の皆さんがんばって」と私は試合開始前に場内放送で挨拶しました。
夏の東京パラリンピックに向けて、まだ出場資格を取っていない選手が多くいるのです。それぞれが記録を更新し、世界ランキング6位以内に入れば日本代表にぐっと近づきます。そんなチャンスの舞台でしたが、大会2日目は暴風雨。ブルートラックが湖のようになってしまいました。トラックが滑るので義足の選手は思うように力が入りません。また車いす競技も水の抵抗が加わり、前に進みにくい状態。でも鈴木朋樹さん(東京パラリンピック、マラソン日本代表)はスピード強化のため800mに出場し2位。「本番もどんな天気になるか分かりません。良い経験になりました」と明るく話しました。
また走り幅跳びでは湯口英理菜さんが、自身の持つアジア記録を16cmも上回る好記録をマーク。残念ながら強い追い風のため公式記録にはならなかったものの、成長を見せてくれました。両足大腿部から義足の湯口さんが雨の中で、一生懸命走る姿に競技運営の方々も集まって応援。「がんばってるな。俺ももっとがんばんなくちゃ」と、東京陸協理事長の平塚和則さんの目に涙が滲んでいました。
内戦から逃れ、前橋で練習を続けている南スーダンの選手も特別参加。パラリンピックまであと5カ月。聖火リレーも始まり、一足先に熱い戦いを観ることが出来ました。
(共同通信/2021年3月22日配信)