「滑走路から世界に羽ばたいてください!」と私は元気に挨拶。3月7日、箱根駅伝予選会の舞台でも知られる陸上自衛隊立川駐屯地で、車いすマラソンの特別レースが行われました。東京パラリンピックへ向けて世界ランキング6位以内の記録を目指すもの。立川市、東京陸協、自衛隊の皆さんの協力もあっての開催でした。
立川市長の清水庄平さんは何度もスタートの合図の練習を。そしてマスコミの方々およそ50人が見守る中、男女合わせて11人の選手たちがスタートしました。1周約2.5kmのコースを16周半。東側1㎞軽い上りで向かい風、西側1㎞が軽い下りの追い風。洞ノ上浩太さん、吉田竜太さん、樋口政幸さん、副島正純さんらが先頭を引っ張りあいながら記録へ挑戦。10㎞までは世界記録でしたが、徐々に集団はバラけ、洞ノ上さんがトップでゴール。女子は土田和歌子さんと喜納翼さんがずっと2人で引っ張り合いました。でも記録達成には及ばず。
「申し訳ありません」とゴール後、洞ノ上さんの第一声。記録挑戦への環境を作ってくれたことに感謝の言葉を述べた後、「風が冷たかった。バイクが前だと有り難かったんですけどね」と苦笑い。レース前は、ネット中継のバイクの5m後ろを選手が走る予定だったそうです。そのバイクが選手の横に。車いすの場合、バイク1台がかなり風よけになってくれるのです。運営で最善を尽くしたつもりでしたが、まだまだです。選手の中には「上り下りが少ないから下りで休めない。でも強化につながるコースですね」と話す人も。
挑戦の舞台を皆で作ったことは第一でしたが、これからもっと選手の声を聞かなきゃ。よりよい環境を作りたいと思います。
(共同通信/2021年3月8日配信)