鹿児島空港から南東に車で1時間半。志布志湾に面した大崎町に近づくと、茶畑が広がり道端には菜の花がいっぱい。2月28日、「ジャパンアスリートゲームズイン大崎」が開催され、私は取材でお邪魔しました。
そこには京都の三十三間堂のような長い建物が。直線で150mの走路5レーンと幅跳びのピットが完備された室内競技場。外には400mの陸上競技場があり、傾斜走路や砂場走路、投擲の施設も。この「ジャパンアスリートトレーニングセンター大隅」は、2年前に県立高校の跡地にオープン。陸上競技の新たな拠点として、知る人ぞ知る施設なのです。
その室内競技場での大会ですが、実は3年前から大崎町で合宿を行う右代啓祐さんが(十種競技の日本記録保持者)町の人々と一緒になって開催したもの。右代さん、合宿中に地域の子ども達と交流をはかる中で「オリンピック選手だ」と目をキラキラさせるのをみて、「もっとたくさんのオリンピック選手に触れさせてあげたい」と思うようになったそう。そして合宿する山本篤さん(パラ陸上走幅跳びメダリスト)にも声をかけ、大会を実現させたのです。「町としても有り難いです。右代さんはクラウドファンディングで運営費も集めてくれました」と主催者。出場した山縣亮太さん(リオ五輪4×100mリレー銀メダリスト)やパラリンピック代表選手などのトップアスリートの競技を、運営を手伝いながら地元の高校生が間近で見学。その迫力にびっくりしていました。そして山縣さんは右膝の故障明けでしたが、10秒39の日本室内最高記録を樹立。「心が通うこの大会で第一歩を踏み出せてヨカッタです」と笑顔で話しました。美しい舞台に感動しました。
(共同通信/2021年3月1日配信)