今年で32年の歴史を重ねる選抜女子駅伝北九州大会が、新型コロナウィルスのため中止となりました。中継するRKB毎日放送のプロデューサーは「こんな時だからこそ、駅伝ファンに喜んで頂ける番組を作りたい」と。工夫を凝らし、大会の歴史を振り返る番組を作り、私はスタジオでコメントすることに。
この大会、高校生チームと大学生、実業団のチームが同じ舞台で戦うもので、テレビ中継される唯一無二の駅伝です。距離は26.9㎞、5区間 (高校生は6区間) で争われます。名場面の映像からは、10代の渋井陽子さんや福士加代子さんの初々しい姿に頬が緩みました。そして、東京オリンピックへの出場が決まっている新谷仁美さん、前田穂南さん、田中希実さんらの高校時代の姿も。私は楽しくて懐かしくて仕方ありませんでした。
そして合宿先からリモートで出演してくれた渋井さんは自分が走る映像を見ながら「うわー、私太ってますねー」、「新谷さん、すごい!世界の舞台でも前半からいきますよ」と独特のハスキーな声で話してくれました。今、三井住友海上女子陸上部でコーチをしている渋井さんに「勧誘したくなる選手はどんな選手?」と聞くと、「走ることが好きな人。それから速く走っているようにみえないのに、速い選手」と。なかなか聞けない渋井さんの生の声を聴くことが出来ました。
過去の映像を観ながら、高校生から成長していく過程が観られ、また成長と共にランニングフォームが変わっていく様子も分かり、何とも贅沢な時間でした。大会は選手にとって目標となる舞台。コロナ禍で中止になる寂しさもありますが、選手たちを応援し続けるメディアの温かさに触れました。
(共同通信/2021年1月25日配信)