4月上旬、石川県志賀町と穴水町に伺い、皆さんと一緒にウォーキングを楽しみました。金沢駅から夫の運転するレンタカーで志賀町へ。北へ進むにつれ車窓には青いビニールシートに覆われた屋根が目立ち、道路はデコボコ。被害の大きさを感じました。
志賀町富来地区の避難所で待っていてくれたのは、94歳と92歳のお婆ちゃんをはじめ、約10人の高齢者の方々。「こんな遠くまでよー来てくれました」と、94歳のキクエさんが歩行器を押しながらロビーへ。そして車椅子の92歳のシズコさんは「地震の後、外に出ていません」と言うので驚き、体を動かしていないの?と私が聞くと「部屋の中で体操をしています」とシズコさん。町の人や愛知県から来た応援スタッフの皆さんが運動不足にならないように色々行っているのです。「じゃー今日は皆で桜を見にいきましょうか?」と私。体操後に、約600mを歩いてパークゴルフ場の桜を見に行くことに。お天気も良く春の遠足のようでした。
歩きながらキクエさんが「私ね、(夫を60代で亡くし)1人暮らしだけどタバコ畑2町歩、田んぼを1町歩やってたの。毎日そこに行くのが楽しみだったけど家が壊れてしまって行けない」と。そんなキクエさんたちを励ますように桜が咲いていました。「オレたちと違ってまだ5分咲きだわ」とお爺ちゃんが言うと、皆大笑い。喜ぶシズコさんの髪に仲良しのお婆ちゃんが花びらをつけてあげました。
穴川町甲地区では、「平均年齢は後期高齢者!(75歳)」と話す皆さん約20人と歩きました。畑の道を通って海に出ると、優しい表情の円山が見えて幸せいっぱい。つくづく、歩くことは会話を楽しめるステキな時間だと感じました。
(共同通信/2024年4月15日配信)