柔らかな春の日ざしに梅の花が歌っているようにみえた2月中旬のこと。ラッキーなことに、睡眠の研究で有名な柳沢正史さん(筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構・機構長)とラジオ番組でお会いすることが出来ました。柳沢さん、論文の活用が多い人に授けられるクラリベイト引用栄誉賞を2018年に受賞。この受賞者は後にノーベル賞を受賞することが多く、2002年以降で71人も受賞しているのです。
凄い方がいらっしゃる!とドキドキしながらお待ちしていましたが、柳沢さんは全然偉ぶったところがなく穏やかな方でした。そしてお話しが最高に面白かったです。私は矢継ぎ早に色々伺いました。それで分かったことは、徹夜をすると脳の働きが15%悪くなるそうです。それは4時間睡眠が4日続いた時も同じ。また感情面も不安定になると話してくれました。「日本人は外国人と比べても睡眠が少ないんですよ」と柳沢さん。経済協力開発機構の調査によると、平均睡眠時間が一番多いのは南アフリカで、9時間13分。日本人は調査した33カ国の中で最も短く7時間22分です。昭和のCMで24時間戦えますか?との言葉が流行ったことなども思い出しました。
またレム睡眠とノンレム睡眠は決して90分のサイクルで行われていないこと、ノンレム睡眠の中にも三段階あることなど初めて知ることが多かったです。
柳沢さんの功績の一つは睡眠の制御に関わる「オレキシン」という物質の発見です。その発見により、突然、強い眠気に襲われ眠り込んでしまう「ナルコレプシー」という睡眠障害や、不眠症を改善する薬の開発へとつながっています。健康のために睡眠はとても大事。柳沢さんへの期待が益々膨らみます。
(共同通信/2024年2月19日配信)