大分国際車いすマラソンは、今年43回目を迎えました。提唱者は日本パラリンピックの父の中村裕さん。大会前日、中村さんが創設した太陽の家を訪問しました。いつものように障がい者の皆さんが電気製品の部品を作ったり、組み立てたりキビキビと働いていました。中村さんが目標にした「障がい者も働いて納税すること」がしっかりと受け継がれています。
そして今回驚いたのは、eスポーツ専用の部屋が出来て、仕事の後に練習していたことです。格闘ゲームが得意な発達障がいのある選手が、夢中で画面に向き合っています。「eスポーツを始めてから遅刻が減りましたよ」と理事長の山下達夫さん。皆で会話する機会も増えたそう。選手に将来の目標は?と聞くと「オリンピックに出ること!」と元気いっぱいに話してくれました。太陽の家の斬新な取り組みにはいつも感動します。
そして翌日の大会は、絶対王者のマルセル・フグさんが手指の骨折のため欠場。独走で優勝していたフグさんがいないので「今回は混戦になる」と予想する人が多かったです。中でもパリパラリンピック銀メダリストの金華さん(中国)と銅メダリストの鈴木朋樹さんに注目が集まりました。
レースがスタートすると、鈴木さんが先頭に出て主導権を握り、金さんが鈴木さんの後ろにぴったりと付き、世界記録ペースの走り。3位以下を大きく引き離しました。34キロ過ぎで金さんがスパートし、そのままフィニッシュ。鈴木さんは2位。先月はシカゴ、ニューヨークを走り連戦が続く鈴木さん。「レースも作れて、出し切りました」と満足気でした。後ろの方には14歳から98歳までの車いすの市民ランナーも。改めて素晴らしい舞台だと感じました。
(共同通信/2024年11月18日配信)