ニューイヤー駅伝の朝、群馬県庁32階から初日の出を拝みながら「新しい一歩!」と心の中で唱えました。元日生まれの私はこの日還暦を迎え、TBSの皆さんから赤いマフラーをプレゼントされ、それを巻いて新年のご挨拶。記念すべき年明けでした。
そして書初めで優勝候補を予想して欲しいと言われ、大きく「トヨタ自動車」と。と言うのも前日の練習で、ルーキーの田澤廉さんが熊本剛監督から指示された記録を上回る素晴らしい走りをしていたからです。またオーダー表をみると、選手からの信頼が厚いベテランの大石港与さんが1区。大石さんは引退を決めており、最後の駅伝。アンカーには東京オリンピック日本代表の服部勇馬さん。1人1人の選手の心が結集する編成だと思いました。
さて、レースは青空の下でスタート。35歳の大石さんがトップ集団に付いて、先頭とわずか4秒差の4位で2区につなぎました。すると太田智樹さんが、区間賞の走りでトップに!
私は監督ルームでリポート。「大石が男気のある走りをして太田の背中を押しました。3区の田澤も本調子でなかったけれど前半主導権を握れた」とトヨタ自動車の熊本監督は笑顔で話してくれました。
その後、5区の田中秀幸さんと6区の西山雄介さんも区間賞の走り。2位のホンダに2分以上の差をつけアンカーの服部勇馬さんにつなぎました。「勇馬にゴールテープを切らせたい!という気持でチームが1つになれましたね」と熊本監督。チームの誰もが、勇馬さんが数々の試練を乗り越えてきたことを知っているからです。日常から生まれる信頼と友情を、タスキはつないでいるのだと思いました。
そして見事優勝を当てた私もめでたいです。
(共同通信/2024年1月5日配信)