5月18日、セイコーゴールデングランプリ陸上で国立競技場へ。建物を包む緑のボリュームが増して、清涼感が漂っていました。
私は田中希実さんに注目。ジャマイカと米国で行われたグランドスラムトラック前半戦に参戦し、3千m、5千mの4レース全てで入賞を果たしました。世界と戦えなかったこの種目で、ノゾミ・タナカと言う名前をとどろかせているのです。
この日、希実さんは先ず、3千mのペースメーカーで登場。2千mまで完璧にペースを刻み、その1時間半後に1500mの決勝に。先頭のグリフィスさん(豪州)から5秒遅れて2位に入りました。自己ベストよりも7秒遅いこともあり、レース後、ペースメーカーが負担になったのでは?という記者の質問に「世界ではペースメーカーをした後に1万mに出場し優勝している人もいる。私はまだまだです」と。やはり見ている所が違います。グランドスラムではお友達出来た?と私が聞くと「ジェシカ・ハルさん(豪州)と食事をしました」と楽しそうに話してくれました。ハルさんは希実さん同様お父さんがコーチだそうです。
そんな希実さんを尊敬しているドルーリー朱瑛里さん(津山高)も出場。結果は12位でしたが「高校生活最後の年の、今日は第一歩です」と表情が明るかったです。昨年は貧血で思うように走れず、体重も減ってしまったそう。ヘモグロビンの値は?と聞くと「10でした」とドルーリーさん。「私、ヘモグロビン11の時にマラソンのレース中に倒れちゃったのよ。ドルーリーさん、鉄分の多い食事してね」と話すと「はい、ひじきとレバニラ炒めをいっぱい食べています」とにっこり。爽やかな風が彼女の頬を撫でるように吹きました。
(共同通信/2025年5月19日配信)