箱根駅伝が100回の歴史を重ねてきました。その記念番組の収録に出演。歴史を振り返ると、寒さや強風との戦いに苦しんだ選手が少なくありません。真冬のお正月は、厳しい自然との戦いです。瀬古利彦さんは選手の頃「ナンバーカードの裏に油紙を貼って、薄く伸ばした真綿を入れたよ」とお腹を冷やさない工夫をしたそう。神野大地さんは手袋を2枚重ねにし、途中で暑くなったら1枚外して温度調節をしました。
昔の選手たちの中には、靴下の中に唐辛子をいれた人も。油やワセリンを塗ることは今も昔も変わりません。スポーツ医科学が発達しても、低体温症を起こしてしまうことがあるのです。オリンピックや世界陸上競技選手権が真夏なので、熱中症対策は進んでいますが、寒さ対策はまだまだ発展途上です。。
過去には、1月下旬の大阪国際女子マラソンで、原裕美子さん(京セラ:当時)がユニフォームの内側に白い長そでのTシャツを着ていました。暑くなったらどうするの?と聞くと「袖を引っ張ると胴の部分が割けて、脱げるんです」と話してくれました。歌舞伎の早変わりみたいだと思いました。
市民ランナーが走るマラソンも冬が多いので、健康・安全のための寒さ対策は重要です。スポーツ用品メーカーの寒さ対策に期待しています。
箱根駅伝は経験の浅い大学生の駅伝ですから、低体温症だけでなく、低血糖や脱水、ケガなど、アクシデントが多いのも特徴。櫛部静二さん(早稲田大)や徳本一善さん(法政大)などアクシデントに泣いた選手が数十年ぶりに映像をみて、また涙。これもタスキをつなぐ駅伝ならではだと感じました。そんな2人が今、素晴らしい指導者で活躍しているのが嬉しいです。
(共同通信/2023年12月25日配信)