紫のラベンダーの花が道端を彩った7月下旬、北海道士別市へ。士別ハーフマラソンのアンバサダーとしてお招きを頂きました。関西実業団陸上競技連盟の女子の選手たちが合宿中と聞き、宿舎を訪問。すると、入り口の自動ドアに「手動です。開けたら閉めてください。熊が出るので」とあってびっくりしました。数日前、近くのクロスカントリーコースの近くに熊が現れたそうです。でも選手たちは熊も引き返すほどの勢いで、パワフルに練習を継続していました。
大会は、そんな選手たちが合宿中の成果をみる目的にもなっているのです。今年は、今井正人さんと福士加代子さんがゲストランナーとあり、一段と華やかでした。今井さんは順天堂大学時代に、福士さんは関西実業団で毎年夏に士別で合宿をしていたそうです。2人とも士別が大好き。レース後、今井さんと福士さん、私の3人で表彰のプレゼンテーターをしました。そして休憩中はパリ五輪の話題に。
「マラソンコースはアップダウンが厳しいんですよね」と福士さん。「高低差は156mで一番急な所は箱根の5区より急な上り坂があるよ」と私が言うと、福士さんは「走りたくなーい」と言い、「ほらほら、元祖山の神ならどう走る?」と今井さんに聞きました。すると今井さん、「上りの前の平坦な所から、上りのピッチに備えてリズムを作っていかないといけませんね」と。上り坂にさしかかって走りを切り変えては遅いそうです。そして「私はおへそを突き出す感じで上っていましたよ」と今井さん。そうすると、腰が落ちずにすむからだそう。近くの坂で私もやってみると、確かに上り易い!士別での楽しさを胸に、私もパリに行ってきます。
(共同通信/2024年7月21日配信)