ラベンダー畑を思わせる紫色の陸上競技場内が美しいパリオリンピック。私は女子3000m障害などの解説で、スタンド席に座りました。フィニッシュラインの上の方です。
エンターテイメントの要素が盛りだくさんで、びっくりしました。競技の合間に、大きなスクリーンに観客を映し、その顔にデジタルで大会マスコットのフリージュの帽子を被せたり、髭をつけたり。子どもも大人も大喜びです。流れる音楽はボサノバからロックまで、演出が素晴らしくて楽しいのです。
そして真剣勝負のオリンピックですが、100mの予備予選はまさに、世界大運動会でした。参加標準記録に届かない選手が、各国1名の出場枠で走るので、成績はバラバラ。選手のゴールが、1位と8位ですごく差があります。その中に東京五輪の事前合宿で加古川市を訪れたツバルの代表選手がいました。共に解説する小林祐梨子さんの故郷が加古川市の近くなので、会う機会があったそうです。「パリオリンピックにも必ず出場します」と彼は祐梨子さんに約束し、目標を達成しました。そして11秒30のツバル新記録を達成!ゴール後に喜び合う2人の姿が微笑ましかったです。
オリンピックのたびに政治やお金の話が出てきてしまいますが、純粋に競技に打ち込んで目標を達成する姿の何と美しいことでしょう。
また今回、200mから1500mの種目で敗者復活戦が誕生しました。これまで予選では、着順で準決勝に進めなかった人の中からタイム上位者が準決勝に進出。今回はタイム上位者を廃止し、着順に届かなかった全員が敗者復活戦で、準決勝進出の道が残されることに。ステキな再チャレンジの道、人生みたいだと思いました。
(共同通信/2024年8月5日配信)