気温11度、風速1mと穏やかな気候の中で開催されたクイーンズ駅伝(全日本実業団女子駅伝)。11月26日、私は仙台の宮城野原陸上競技場の中に設置されたネット配信ブースから、TBSの高柳光輝アナウンサー(25歳)と中継しました。昨年に引き続き親子のようなコンビ。「1区は最初から資生堂の五島(莉乃)さんが飛び出すと思いますよ!」と話すと、既に400人以上が視聴。こちらも駅伝で地上波(解説は高橋尚子さんと野口みずきさん)への呼び水的な役割を果たしていると思いました。
画面には松島の美しい風景が。スタートするとやはり飛び出したのは五島さん!そこに大勢の選手が付きましたが、2㎞手前から五島さんの独走。大きく腕を振るダイナミックな走りは惚れ惚れするもので、2位に39秒差をつけてタスキ渡し。しかし、資生堂チームは昨年のような横綱相撲が出来ませんでした。3区のエース区間で、パリ五輪日本代表に内定している一山麻緒さんが6人に抜かれ7位に。積水化学の佐藤早也伽さんが先頭に立つと、そこから一度も先頭を譲らず、アンカーの森智香子さんが笑顔で優勝のゴールテープを切りました。
ゴール後、一山さんを指導する永山忠幸さんに「MGCの疲れがありましたね」と話すと、「いえいえ、五輪選手なら駅伝でも最高の走りをしなければいけませんよ」と。厳しかったです。一山さんは一人で涙をこぼしたことでしょう。でもこの悔しさが来年のパリ五輪へ更なる力を生むのだと思います。
そしてMGCで悔し涙を流した鈴木亜由子さんと前田穂南さんは、元気な走りで次への一歩を踏み出しました。銀杏並木の黄葉が悲喜こもごもの駅伝をみつめていました。
(共同通信/2023年11月27日配信)