夏目漱石が門下生の森田草平へ送った手紙に、「君弱い事を云ってはいけない。僕も弱い男だか弱いなりに死ぬ迄やるのである」とあります。4月下旬、松山市で開催された日本パラ陸上競技選手権大会では、この言葉を引用して選手たちを激励しました。
でも結果は、「自分越え」どころか、アジア記録3、日本記録23、大会記録37の大活躍!選手の皆さん、冬季練習の成果が発揮されて今秋インドで開かれる世界パラ選手権大会に弾みがつきました。春に一人一人が連盟のスローガンを考え、「挑め未来!」に決まったことも、皆の結束力を高めたのかもしれません。
100m、200m、走り幅跳びで3冠を獲得した田巻佑真さん(23歳)。小学2年生の時に病気で左脚を切断しました。昨年の神戸世界パㇻでは200メートルで7位。「去年は記録が出ずに悔しかったけど、義足も合ってきて大会にピークを合わせられました」とすごく嬉しそう。今秋の世界パラ陸上には「どうしても出場したいから(6月までの大会で)派遣標準記録を切れるよう頑張ります」と力強く話しました。
また知的障がいの400mは三つ巴の接戦で、最後は臼木大悟さんが制しました。なんと上位3人が日本記録!ハイパフォーマンスディレクターの奥松美恵子さんは、「世界の舞台を経験したオリンピック選手やコーチにアドバイスを頂いているお陰です」と話します。
臼木さん達は4×400mリレーの強化指定選手で、よく東京都北区のトレーニングセンターで合宿を行っています。飯塚翔太さんにお会いしたり、桐生祥秀さんのコーチの土江裕寛さんにアドバイスをもらったり。オリ・パラ連携の強みが良い結果に表れているようで嬉しいです。
(共同通信/2025年5月2日配信)