パリ五輪代表の残り一枠をかけた大阪国際女子マラソン(1月28日)は、インパクトのあるレースで前田穂南さんが日本人トップでフィニッシュしました。野口みずきさんの日本記録を19年ぶりに破るという快挙。私は森脇健児さん達とネットで生配信を。みんな興奮しっぱなしでした。
中間点を過ぎで、前田さんがペースメーカーを置き去りにしてスパート!「早くない?」と森脇さんは心配しましたが、「これが前田さんの勝ちパターンですよ」と私。その飛び出しにライバルの選手たちは不意を突かれた感じです。前田さんはそのまま独走し、31㎞過ぎにエチオピアのエデサさんに抜かれましたが、最後はその差を詰める勢いでゴールしたのです。
32㎞過ぎの沿道でお父さんの哲宏さんが走る姿に、涙がこぼれました。哲宏さん、さすが学生の頃にサッカーとラグビーをしていただけあって速かったです。また沿道にはお母さんの麻理さんの姿も。以前、麻理さんが「穂南は子どもの頃、動物園やディズニーランドに行っても見るよりも走っていたんですよ」と言った言葉を思い出しました。穂南さん、ずっと温かい家族に支えられてきたのです。
そして武冨豊監督はよく、「前田さんは私が止めるまで走っている」と言います。走ることが好きなことと、努力を継続する才能があると話していたのです。
前田さんの母校大阪薫英女学院の安田功監督も彼女のことを「高校生の時から根性が凄かった」と。全国高校駅伝の選手になれず、3年間補欠だった前田さん。チームが初優勝した年、夜遅くに京都から尼崎の実家に帰ると、それから走りに行ったそうで、安田さんは驚きました。正に「ど根性フラミンゴ」の勝利でした。
(共同通信/2024年1月29日配信)