千田さんの人柄伝わる
新型コロナウイルスの感染拡大で、不安になっている人々の気持ちを和ませるかのようにチューリップや八重桜など彩り豊かに咲いています。いよいよ、テレビやラジオの仕事も感染防止のためスタジオに行けなくなる人が増えてきました。
私も先日は、家のパソコンの前に座り、インターネット回線を通じてラジオに出演。アナウンサーのいるスタジオと繋ぎ、私と同じ方法で出演したフェンシング元日本代表(ロンドン五輪団体銀メダリスト)の千田健太さんと話しました。昔のSF映画で見たことのあるテレビ電話のようで、少し興奮。でも、向き合って話すよりも間がとりにくく、何度か声が重なってしまいました。そのたびに「すいません」と千田さん。謙虚で礼儀正しい人柄が画面越しにも伝わります。
「フェンシングは試合前後の礼を忘れると、反則を取られます」と話し、さすが騎士道だなと思いました。剣道も一本を取ってガッツポーズすると、相手に対する礼を欠く行為として、その一本を取り消されます。騎士道と日本の武士道は似ている点が多いようです。
千田さんは現在JOC(日本オリンピック委員会)の女性スポーツ専門部会のメンバーも務めています。人柄に加え「女性を大切に守る」と騎士道にあるので、もってこいの仕事です。
そんな千田さんのお父さん、健一さんは幻のモスクワ五輪の日本代表選手(フェンシング)でした。そして今回、聖火ランナーに決まっていたのです。どちらも幻になり「お父さん、残念でしたね」と言うと、千田さんは「聖火リレー中止でコメントを求められて、テレビにいっぱい出たと喜んでいましたよ」と。お父さんも朗らかで前向きな方のようです。
(共同通信/2020年4月13日配信)
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