凛々しかった真木さん
大きな目とボーイッシュな雰囲気が特徴の真木和さん。ひと際ファンの多い選手でした。10月18日、乳がんのため天国に旅立たれました。翌日、ご主人からその事を電話で伺い信じられない気持ちでしたが「スポーツの元気なイメージを壊したくない」と、和さんは周りに話したがらなかったようです。いかにも奥ゆかしい性格の彼女らしいなと思いました。同世代に活躍した有森裕子さんも「シャイで、心の強い選手でしたね」と話します。
真木さんは、1992年バルセロナ五輪に女子1万mで出場。1996年アトランタ五輪では女子マラソンの日本代表に。その後、故障に悩まされて1998年に引退し、結婚して幸せな家庭を築きました。15歳になる息子さんがいますが、目が大きくて聡明で素直な性格はお母さんそっくりです。有森さんも「(大阪)千里中央で行ったチャリティイベントに、二人で来てくれたんですよ」と懐かしそうに話します。
和さんは、速い、強いだけでなく、ランニングフォームの美しい女性でした。背筋が伸びた凛とした姿勢、でも足の動きが柔らかくて、彼女の走りを見ると誰もが「私も走ってみようかな」と思えるのです。ワコールに所属しましたが、その影響もあるのでしょう。和さん以降もワコールの選手達は平均的にフォームが美しい。
旅立ちから3日後、福岡県宗像市と福津市でプリンセス駅伝が開催されました。そこで、ワコールは初優勝。私は福士加代子さんや一山麻緒さんの腰高で綺麗なフォームを見て解説。和さんのことを思いました。2020年の東京五輪を見たかったことでしょう。でもきっと天国から選手たちを見守ってくれています。
(共同通信/2018年10月29日配信)
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