駅伝のアクシデント対策
クイーンズ駅伝(全日本実業団対抗女子駅伝)の予選会となるプリンセス駅伝が、10月21日福岡県宗像市と福津市で開催されました。私は福岡市内のスタジオで解説。2区で今まで見たことのない映像に目が釘付けに。岩谷産業の飯田怜さんが四つん這いで進んでいたのです。上位グループで走っていた飯田さんは、区間終盤で突然転倒。疲労骨折していた右脛骨(すねの骨)が、レース中に折れてしまったからです。駆け寄った係員に「あとどの位ですか」と尋ね、残り200mだと聞くと四つん這いで中継所を目指し始めました。そんな姿に「行かせてあげたい。あと70mだよ」と声をかける審判。見ていて涙がこぼれました。しかしレース後、廣瀬永和監督は「あんな姿、競技ではないでしょ。止めて欲しいと電話したけどすぐに現場に伝わらなかった」と話しました。「早く治して、もう一度しっかりと走る姿を見てもらいたい」と廣瀬さん。
そして、もう一つアクシデントが。エース区間の3区、快調にトップを走っていた三井住友海上の岡本春美さんが、中継所手前約1kmのところでフラフラに。気温20度を超えるなか、脱水症状なのか意識がないようでした。もし後ろに倒れたら…と心配してみていましたが、本人は「タスキを繋げたい」という一心で、前へ前へと。胸が熱くなりましたが、ここでもやはり吉田富男監督は「すぐに止めたかった」と。ただ交通規制もありなかなか現場にたどり着けなかったようです。
駅伝やマラソンは距離も長く、すべての場所に係員を置くことは不可能。選手の体のことを考えると、審判が乗るコース上の車を増やす、監督からのホットラインを作るなど、新たな対策が必要です。
(共同通信/2018年10月22日配信)
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