西郷どんの故郷
4月初旬、ラジオCMの仕事で鹿児島市へ。大河ドラマ「西郷どん」を市内の至るところで感じられ興奮しました。収録の合間、雑談での話題はドラマで描かれている薩摩藩の様々なこと。地元出身のラジオのディレクターの方が「僕も子どもの頃、負けるな、嘘をつくな、弱い者をいじめるな、と叩き込まれました」と。町内単位で先輩が後輩を教育していく郷中教育が、脈々と受け継がれているのです。
声の収録が終わり、夕日に赤く染まる桜島をバックに写真撮影も終了。天文館通り沿いのホテルに宿泊した翌朝、観光ジョキングへ出発。西郷どんの序盤の舞台、旧下加治屋町(現・加治屋町)へ。鶴丸城から2kmほど離れた下級武士の暮らす町でしたが、「公爵銀座」と呼ばれています。西郷隆盛、大久保利通、山本権兵衛、東郷平八郎、大山巌等々、明治維新から日露戦争を「一町内で行ったよう」と司馬遼太郎さんも言ったように、数々の偉人が誕生した町です。
ジョギングすると色々な発見が。鹿児島市内中心部の道路は歩道が広いうえに、自転車と歩行者の区分がされている場所が多くて、とても走り易いのです。また電柱が地中化されているので、見上げる空も広く、ビルの合間から噴煙を上げる桜島が見えます。そして甲突川へ行き、花吹雪が舞うなか川沿いの公園を走っていると、幕末から明治にかけての歴史が様々なカタチで展示してありました。ペースを緩めてその説明書きを読み、隣りを見ると、ボランティアの方々が掃除をしていました。ゴミが落ちていないわけです。皆さんの優しい表情は、自分の故郷に誇りを持っているかだと感じました。これからも元気な脚で、観光ジョキングを楽しみたいです。
(共同通信/2018年4月9日配信)
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