心の中に5人の自分
市民マラソン大会で貴重なアドバイスを頂く機会に恵まれました。4月15日に開催された加賀温泉郷マラソンの前日イベントに佐藤雅幸先生(専修大学スポーツ研究所長)が登壇。スポーツ心理学がご専門の佐藤さんは、トップ選手や指導者が参考にする著書を多く出版されています。テニスのジュニア育成を行っている「修造キャンプ」では設立当初から子ども達にアドバイスを。錦織圭さんの成長も見守ってこられた方なのです。
ランナーに向けて「皆さんの心の中には5人が住んでいます。走りながら上手に対話してゴールを目指してください」と話しました。5人というのは、もっと頑張れ、根性だと叱咤激励する「頑固親父」。大丈夫?脚痛くない?と語りかける「優しいお母さん」。そして、このペースでいけばいいよとか、次の給水で少しストレッチしたほうがいいと「分析する人」。また気持ちいいから行っちゃおーなんていう「天真爛漫な子ども」。あと1人は誉められる結果を残したいと思う「いい子の優等生」。聴いていて、成程なぁと思いました。
これはマラソンに限らず、どの世界においても応用でき、役立つことでしょう。この日、ゲストとしてフルマラソンを走った野尻あずささんは「他のランナーをずっと励ましながら走ったので、お母さんが存在していました」と笑顔で話しました。すると、佐藤さんは「その時の状況に応じて色んな人の登場を楽しめばいいんですよ」と。競技に取り組むレベルが違っても基本は同じ。2020年向けて、母国開催の大きなプレッシャーを感じている選手もいるはずです。佐藤さんのお話に、実力を発揮するためにスポーツ心理学の活用は大切だと感じました。
(共同通信/2018年4月16日配信)
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