凱旋門を背に、選手たちはシャンゼリゼ通りからコンコルド広場まで行進。パリパラリンピックの開会式も美しい景色の中で行われました。大会組織委員会会長のトニー・エスタンゲさんが「ギロチンではない、パラリンピックの革命を起こします」とご挨拶。式典からも変革というメッセージが強く伝わってきました。
私は大会2日目に東京からNHKの生放送に出演。パリと時差が7時間あるので深夜から朝にかけての中継でした。でも眠気が吹っ飛んだのは、鈴木孝幸さんの50m平泳ぎでの金メダルです。右脚、左足のひざ下、右腕の肘から先が生まれつきない鈴木さん。飛び込みからリードし、全身を波打たせるように動かし、ぐいぐいと進みます。イギリスへの留学が功を成しているのでしょう。37歳で自己ベスト!とてもカッコよかったです。
キャスターの国枝慎吾さんも興奮気味でした。「鈴木さんとは将棋仲間です。」と国枝が言うので、突っ込んで聞くと「木村敬一さん(競泳)と鈴木さんがよく将棋を指すんです。それで私もオンライン将棋を鈴木さんとやらせてもらったことがあります」と。どっちが勝ちましたか?と質問すると「鈴木さんはとんでもなく強いんですよ。木村さんも歯が立たない」と話しました。
国枝さん、選手の頃は「世界の国枝」と呼ばれ、ストイックな感じでしたが、何と楽しそうにお話しされるのでしょう。競泳会場の臨場感がとてもよく伝わり、キャスターとしても金メダルだと感じました。
オリンピックの時は、内村航平さんの落ち着きと独特の感性に感動しました。そしてパラリンピックでは国枝さんの面白さが光ります。さすが、世界の王者たちは、何をやっても極めそうです。
(共同通信/2024年9月2日配信)