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おしゃべり散歩道2020

爆笑もある監督バス

 街路樹が色づき始めた11月1日、熱田神宮から伊勢神宮まで106.8qをタスキリレーする全日本大学駅伝が開催されました。私は監督たちが乗るバスの中でリポート役。今年はレースが面白く、例年以上に車中も湧きました。席順はくじ引きで、一番人気の左側最後尾は東海大学監督の両角速さん。「落ち着いてレースが見られます」とにっこり。そして前から二番目の席には東洋の酒井俊幸さん、その後ろが駒沢の大八木弘明さん。大八木さんの後ろに座った青学の原晋さんは「今日は静かにしときます」と。すると大八木さん、「何ともいえない席だな」と苦笑い。
 レースは6区まで先頭が目まぐるしく入れ替わる展開。7区で1位青学2位明治に続く3位集団が、なかなか前との差をつめられずにいると、大八木さんが窓を開けて「牽制するなよ、牽制するな、イケイケ!」と選手にハッパを。前の席の酒井さんの肩を揉みながら「東洋さんも牽制しないでよ」と声をかけると、「はい」と酒井さん。すると後ろから原さんが「牽制していてください」と返して、バスの中は爆笑。
 アンカー8区では、先頭を走る青学の吉田圭太さんを、東海の名取燎太さんと駒沢の田澤廉さんの二人が追い上げます。「吉田は並ばれると弱い。田澤だな」と話すと、大八木さんは「いやいや名取が強いよ」と。「そうだといいんですが」と両角さん。お互い各チームのエースに敬意を払います。
 そして、残り1q付近から田澤さんがスパート。そのままゴールテープを切り、駒沢が6年ぶり13回目の優勝に。大八木さんの目に涙が光りました。互いに認め合いながら切磋琢磨するライバル校の監督たち、魅力的です!

(共同通信/2020年11月2日配信)

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