音で臨場感を楽しもう
待ちに待ったプロ野球が開幕。無観客試合ですが、お茶の間でビール片手にテレビ観戦を楽しめる日常が戻ってきました。そして、普段は大歓声でかき消されていた音に注目が集まっています。バットの芯でボールを捉えた時の快音、剛速球がキャッチャーミットを鳴らす音の迫力、選手が普段かけている応援の声等々。
3月の大阪場所でもテレビから力士のぶつかり合う音が伝わり、改めて相撲の迫力を感じました。以前、バドミントンの練習を見に行った時、選手が素早く動くため、シューズが床にこすれる「キュッ、キュッ」という音が体育館中に響き渡り、激しいスポーツだと驚いたことを思い出します。
テレビ中継では映像だけでなく、音でもその臨場感を伝えようと、様々な場所にマイクを置いています。陸上競技では走る選手の息遣いや足音を伝えるために走路にもマイクがありますし、サッカーの試合は最低でも50本ほどのマイクを使っていると聞きました。なんと柔道では畳から伝わる音を拾うためだけのマイクも用意しているそうです。スポーツ中継は、音が伝わることで臨場感が一気に高まるのです。
そして臨場感を盛り上げるために一役買うのがアナウンサーの実況。そのスタイルは千差万別です。ある世界陸上選手権で日本のアナウンサーが絶叫する声に隣のブースのイギリスBBCのアナウンサーから苦情がきたことがありました。また別の大会では後ろの席のブラジルのアナウンサーの声が大き過ぎて日本が文句を言ったことも。
今回、プロ野球でもアナウンサーや解説者の声が、選手に聞こえてしまって問題に。選手も実況も全力だからこその音や声。“無観客ならでは”を今は楽しめる時なのです。
(共同通信/2020年6月22日配信)
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