パラ選手から学ぶ
1月11、12日に東京お台場で開催された東京都主催のパラリンピックイベント。アーチェリーでロンドンパラリンピック銀メダルを獲得したマット・スタッツマンさんがいらっしゃり、武井壮さんと私の3人でトークショーを行いました。会場にはボッチャや車いすラグビー、ゴールボール等々たくさんの体験コーナーがあり、家族連れのお客さんは色々な競技を体験して、その間に私達のトークを聞くという感じでした。
用意された300席はいっぱいに。その中には9歳の私の甥っ子の姿も。シャイな彼は私と目が合わないよう隠れるように座っていました。「皆さん、こんにちは」と入ってきたスタッツマンさん、先天性の病気のため両腕がありません。でも肩を振って挨拶するとTシャツの袖が揺れてその姿が可愛いのです。大変チャーミングな方で、すぐにお客さんの心をつかんでしまいました。「僕は東京オリンピックで金メダルをとりたい」と、にっこり。会場から大きな拍手が。
私は楽屋での様子を伝えました。スタッツマンさんと武井さんはお二人とも車が大好き。スタッツマンさんは肩の先の突起でスマホを上手に使い、自分が車を運転する動画を武井さんに見せていたのです。またサインを頼まれると、足の指の間にペンを挟んでサッサッサと。体のどこもあますことなく使う姿に、私は「すごいなぁ」を連発していました。
よくオリンピック選手が「パラの選手から体の動かし方を学ぶ」と話しますが、分かる気がしました。両腕のないスタッツマンさんは足で弓を持ち、補助具を使ってあごで矢をひきます。そのデモンストレーションを観た子ども達から、大きな歓声があがりました。甥っ子も目を輝かせていて、何かを感じたようです。
(共同通信/2020年1月20日配信)
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