廣中さんの強さ
紅葉あかりに照らされた宮城野原の仙台市陸上競技場に最初に帰ってきたのは、日本郵政チームでした。11月24日に宮城県で開催されたクイーンズ駅伝(全日本実業団女子駅伝)には、MGCで東京五輪マラソン代表を決めた前田穂南さん(天満屋)と鈴木亜由子さん(日本郵政グループ)が走ることもあり注目が集まりました。その2人は、エースが勢揃いする3区で対決。マラソン後に休養し、10.9kmを全力で走る準備も不足している中、鈴木さんが区間2位、前田さんが3位とプライドをみせました。
優勝インタビューで鈴木さんは「新人達のお陰です。心から感謝したい」と終始笑顔。日本郵政チームは出場した6人中、4人が新人だったのです。中でも1区を走った青い帽子がトレードマークの廣中璃梨佳さんは、2位に20秒の差をつけてトップでタスキを渡し、区間新記録をマーク。大会のMVPを授賞しました。彼女は中学時代から活躍していましたが、向上心にあふれた目が印象的な選手。今回も「楽しかったです」と目がキラキラと輝いていました。
スポーツだけでなく、小学1年生からそろばんを習い、暗算も得意な廣中さん。応援に来ていたお母さんの奈利子さんは「一緒に買い物に行くと、消費税などもすぐ計算してくれるから助かります」と。頭の回転もダイナミックな走り同様にピッチが早いのです。
そして閉会式では壇上で表彰を受けましたが、背筋をまっすぐに腰を折るお辞儀の仕方が美しい。「中学の恩師、定方先生に礼儀の大切さを教えられました」とお母さん。璃梨佳さんに好きな言葉を聞くと「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と。2020年を目前に控え、凄い新人が現れました。
(共同通信/2019年11月25日配信)
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