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おしゃべり散歩道2019

突然のコース変更

 IOC(国際オリンピック委員会)は来年の東京五輪のマラソンと競歩の会場を札幌に変更する決定を下しました。私は9月にドーハ世界陸上で凄まじい暑さを体感したばかりだったので、選手の健康面を考えての配慮に納得しました。しかし、プリンセス駅伝で監督達と話すと歓迎している人はいません。「どうしてこのタイミングに?ですよ」と山下佐知子さん(第一生命グループ)。「静観するしかないですね」とは大塚製薬の河野匡さん(MGCの立役者)。山下さんは日本陸上競技連盟の女子マラソン五輪強化コーチです。日本はリオ五輪が終わった直後から荒川河川敷で30km走を何度も行い、暑さ対策を行ってきたそう。そしてその時々に日本陸連科学委員会の研究者らが同行し、汗や血液の状態などをデータに残してきました。一発勝負のMGCもほぼ本番と同じコースを、似た気候条件で走って地の利を得たところ。「さぁー、これから皆で戦略を練る段階でした」と山下さん。日本チームにとっては、残念な変更だったのです。
 また海の向こうからも。ロンドン在住のマーラ・ヤマウチさん(北京五輪女子マラソン6位入賞)は「マラソンは数年かけて目標のレースのための準備をします。東京の暑さに備えてドーハを走った選手もいました。マラソンのことを分かっていませんね」と。変更するならもっと早くにと言うことなのです。
 NHK大河ドラマ「いたでん」で、金栗四三さんが出場した1912年のストックホルム五輪では熱中症でポルトガルの選手が亡くなったことも描かれていました。何かあってからでは遅いことも確か。札幌に決まったら、早くコースとスタート時間を決めて!というのが選手の望みでしょう。

(共同通信/2019年10月21日配信)

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