陸上でも人が集う場に
東京オリンピック開幕1年前を控え、7月上旬に新国立競技場がマスコミに公開されました。ほぼ9割完成し、見上げると屋根の裏側に木材が見えて日本建築の素晴らしさを感じます。2020年以降は球技とコンサート中心と言われていましたが、陸上のトラックが残るというニュースが。嬉しい限りです。
国立競技場では1964年のオリンピック、1991年の世界陸上選手権、また日本陸上競技選手権が何度も開催されました。陸上競技に汗を流す選手たちにとって憧れの場所。そんな聖地が残るのは嬉しいけれど、サブトラック(練習場)がないためインターハイなどの競技会は開催できません。オリンピック、パラリンピック期間中は神宮外苑の軟式球場のグラウンドを借りて、そこに仮設のトラックを作ります。撤去も含めたその費用は20〜30億円とも言われていて、インターハイや国内大会では負担できないわけです。
そこで、サブトラックがなくてもトラックが残るのですから、活用方法を考えたいと思います。インターハイなどの参加選手数が多い大会は、練習場がないと危険なので無理です。でも小規模の大会やイベントならば大丈夫。ホームストレートで100mの記録会を行い、ウォーミングアップはバックストレートや雨天練習場で。空いている日に、今や全国に広がる市民ランナーの練習会等を行えば、たくさん集まるでしょう。またアイドル達の運動会を行えばファンは殺到しそう。
陸上競技はこれまで観客を楽しませることや集客することを苦手にしてきました。でも令和になったこれからは、立派なスタジアムを維持するために、スポーツを観る、する人が集う場所にしなければいけません。
(共同通信/2019年7月12日配信)
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