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おしゃべり散歩道2019

福島のパラスポーツ

 早朝、夫と一緒に阿武隈川沿いをジョギングすると、足元にひょっこりカタツムリが現れました。まるで挨拶に来てくれたような可愛いらしさ。6月15、16日、福島県郡山市で開かれた北海道・東北パラ陸上競技選手権に取材へ行った時のことです。会場となった開成山陸上競技場で、最初に行われた種目は知的障がい男子100m。「オンユワ、マーク」というスターターの合図をしゃがんで待たなければいけないのに、立ち上がってしまう選手がいました。すると審判がその選手の隣に来て、スタートを自らやってみせて教えます。ようやくスタートしたと思ったら、彼は途中でレーンから外れてしまい、また審判に促されてやっとゴールイン。その瞬間、スタンドから大拍手が起きたのです。選手を見守る温かな雰囲気に感動しました。
 大会長の宍戸秀樹さんは「参加標準記録を設けていないので、誰でも参加出来るんですよ」と。お陰で北海道、東北地方だけでなく、静岡や東京などからも134人が参加。知的障がいの選手が多く出場していることも特徴です。陸上競技を始めたばかりの人も参加出来る、間口の広い大会なのです。
 運営の福島県陸上競技協会、県南陸協の方々の控室では、女性役員が煮物、干し柿のしそ巻き、お新香をどっさり作ってきて皆さんにふるまっていました。「先月の大会では蕨の天ぷらだったよ」と宍戸さん。支える側も和気あいあい。また地元の5校の高校の生徒たちが、走り幅跳びの砂をならしたり、選手を誘導したり、補助員として動きまわっていました。スポーツで第一歩を踏み出す人を皆で支える優しさが、競技場を包んでいたのです。こんな空気が社会に広がればステキです。

(共同通信/2019年6月16日配信)

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