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おしゃべり散歩道2019

大事な防寒対策

 雛祭りの日に開催された東京マラソン2019は、風雨と寒さによる選手泣かせのお天気でした。私は車いすマラソンの選手を応援に都庁前のスタート地点へ。注目の大迫傑さんが、両手でずっと腕や脚をさすり続けていました。気温5.7℃は、コートを着ていても指先が冷たかったです。震えながら号砲を待つ車いすの選手もいました。「路面が滑るので気をつけてね」と言うと、「タイヤに松ヤニを塗ったから大丈夫ですよ」と、山本浩之さんが笑顔でガッツポーズ。
 スタートを見送った後は、電車でゴール地点へ移動。雨が降り続く中、スイスのマルセル・フグ選手(リオパラリンピック金メダリスト)が2位に大差をつける独走でゴール。フグさんはビニール製のウエアを着て防寒。それを脱ぐと、下にも長袖を2枚。日本選手よりも厚着でした。
 その後、日本人1位の4位でゴールした洞ノ上浩太さんの第一声は「唐辛子塗っておいてヨカッタ」。唐辛子の入ったクリームを背中に塗ったお陰で後半背中がホカホカしていたそうです。そして鈴木朋樹さん(6位)は震えが止まりません。話しかけても、口がかじかんでしまい頷くだけ。すぐに温かいペットボトルを用意し、三本を首筋に当てながら、選手控え室へ。
 私と一緒に行動していた三井利仁さん(日本福祉大学准教授)は、「脊髄損傷の選手は脚の血管も細いので防寒が大事。寒いと自律神経にも影響します」と。また太もも等の大きな筋肉を動かして発熱出来ないため、健常者よりも寒さを感じてしまうそう。この日、大迫さんが寒さでリタイア。マラソンがいかに気象条件に影響されるかを認識しました。そして車いすの選手は、より入念な防寒対策が必要です。

(共同通信/2019年3月4日配信)

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