神宮外苑を走る
完成の姿に近づいてきた新国立競技場が、2020年を待ち望んでいるよう。12月16日、神宮外苑で「第36回JBMAユニファイドラン」が開催され、障がい者(視覚、知的)と共に楽しく走ろうという主旨のもとに、約1500人のランナー、ウオーカーが集いました。ゲストランナーは私の他に、アテネパラリンピック男子マラソン金メダリストの蜷春己さん、その伴走者も兼ねて中山竹通さん、そして競歩の鈴木雄介さんが。「ここは瀬古利彦さんのホームグラウンド。中山さん、ペース上げ過ぎないでね」と私が言うと「伴走だからゆっくりいきますよ」と。でも走り始めると、蜷さんの少し前を走り中山さんがリードしている姿が微笑ましかったです。
私は10kmの部に。道路が広いので、視覚障がい者や伴走者の皆さんも安心して走っているようでした。黄緑色のビブスを着た視覚障がいの選手を見つけると暫く並走。おしゃべりを楽しんで、また前を追い上げて並走を繰り返しましたが、こんなことが出来る大会はあまりありません。今でこそノーマライゼーションの機運が高まっていますが、それを36年前に始めたことが素晴らしいと思います。「最初は全日本盲人健康マラソン大会としてスタートしたんですよ。まだ障がい者スポーツに対する理解が十分でなかったので試行錯誤でした」と、羽毛田信吾さん(日本ブラインドマラソン協会会長)。でも地道な努力で継続し、昨年からは知的障がいのあるランナーが加わるなど発展を続けています。給水や沿道警備などに、日本大学や順天堂大学などの学生ボランティアが多いことも爽やか。「みんな違ってみんないい」金子みすゞさんの言葉のように、優しい冬の日でした。
(共同通信/2018年12月17日配信)
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