維新の風
明治維新から150年の山口で、日本陸上競技選手権女子1万mは2020年へ続く、いい風を起こしました。昨年に続き連覇したのは松田瑞希さん(ダイハツ)。彼女は今年1月の大阪国際女子マラソンでも優勝した実力のある選手です。レースは序盤から目まぐるしく先頭が変わるなか、堀優花さん(パナソニック)や一山麻緒さん(ワコール)が積極的に集団を引っ張る展開に。そして8100mから鈴木亜由子さん(日本郵政G)がスパート。「ここしかないよね」と高橋昌彦監督は大きく頷きました。私は高橋さんと一緒にバックスタンドでレースを観ていましたが、鈴木さんは春に足を故障し「今は7割くらいの状態かな」と高橋さんは話していたのです。昨年のこの大会、ラスト200mで松田さんに抜かれ優勝を逃した鈴木さん。勝負所を理解し、着実に実行します。皆が苦しいところでの鈴木さんのスパートに一旦は離れた松田さんですが、最後まで諦めませんでした。ラスト200mでペースが落ちた鈴木さんをかわして優勝。その瞬発力たるや、お見事!でした。
2020年のマラソンのコースが発表になりました。マラソン最終盤の40km付近、富久町交差点付近に厳しいアップダウンがあります。あの上りも、松田さんなら元気にぐいぐい上るイメージが出来るのが嬉しい。そして、鈴木さんもマラソンに挑む決意を固めています。夏の北海道マラソンが有力ですが、暑さにも強く、スピードとスタミナ、根性と知性を兼ね備えた鈴木さんのマラソンが楽しみで仕方ありません。ライバル達がしのぎを削り合い、日本記録を破る日も遠くない雰囲気です。女子マラソンにも維新の風が吹き始めました。
(共同通信/2018年6月25日配信)
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