伸びしろ大きい22歳
3月11日、名古屋ウィメンズマラソンが開催され、初マラソンの関根花観さん(日本郵政グループ)が日本人トップの2位に輝きました。関根さんは、仙台育英高校一年生の時に東日本大震災を経験。プレハブの教室で授業をうけたり、寮の近くの信号が復旧しなかったり、不便を味わったそうです。そして「走れるって全然当たり前じゃないんだと思った」と。そんな関根さんのこの日の走りは、きっと被災した人々の心を明るくしたことでしょう。
25kmでペースメーカーが降りた後、ケニアのバラリー・ジェメリさんが急激なペースアップ。エチオピアのメスケレム・アセファさんが遅れ、そこからまたまた関根さんも遅れて、ずっと1人旅に。それでも、関根さんは5kmを17分前後の速いペースで刻みました。彼女にとって42.195kmは、レースでは初めての距離。不安や孤独の旅だったに違いありません。
40km過ぎは、荒い呼吸になり、可愛らしい顔も歪みました。でもリズムを崩さず2時間23分07秒でゴールイン。ゴール後、「1人になった時、あと10kmもあるんだ。大丈夫かな?と思いました。」と。でもマラソンは苦しい波の後に必ず楽な波がくると言われるから我慢しようと思ったそうです。そんな関根さんを優しい表情で眺めながら、高橋昌彦監督は「まだマラソン練習は七割しかしていないんですよ」と。22歳の逸材に無理を強いて故障させたくないと言います。伸びしろ大なのが魅力。更に彼女の魅力は、走ることが大好きなこと。冬の徳之島合宿では練習が休みの日に、朝4時に起きて暗闇の中、一周31kmのコースを走って高橋昌彦監督やチームメイトをびっくりさせました。これからがとても楽しみです。
(共同通信/2018年3月12日配信)
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