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おしゃべり散歩道2017

精神力が強い鈴木さん

 青葉城の紅葉が選手を称えるように色づいた11月26日、第37回全日本実業団女子駅伝(クイーンズ駅伝)が開催されました。宮城県松島から仙台までを走るコースは、松尾芭蕉が歩いた道を反対からいくもの。この美しい舞台で優勝したのは、ユニバーサルエンターテインメントでした。5年ぶりの優勝に小出義雄代表(78歳)は「寿命が伸びるね。鷲見の復活が大きいよ。そのうちマラソンやるから見てて」と、嬉しそうでした。高橋尚子二世と言われる鷲見梓沙さんのマラソンが本当に楽しみです。
 そしてこの日、私が一番印象に残った選手は鈴木亜由子さん(日本郵政グループ)です。大会前日の開会式で選手宣誓を行い、その内容も話し方もとにかく素晴らしかったです。「駅伝発祥100年の節目に、復興の歩みを進める宮城の地で…(中略)…仲間と共に最後まで諦めない走りで、全国に元気を配達することを誓います」と。さすが、名古屋大学卒業の才女だと感服しました。
 実は鈴木さん、約二週間前に右の足底を故障してしまい、不安を抱えての宮城入りだったのです。約10日間ジョギングも出来ない状態の中で、個人のレースなら出場をとりやめていたでしょう。でも彼女は「キャプテンとしての責任を果たしたい」と自ら一区を志願。痛み止めを打ち、自分が集中すれば大丈夫だと覚悟を決めたのです。「鈴木は精神力が強いから、自分が決めたことは絶対やり遂げる」と高橋昌彦監督は話していました。
 レース中、鈴木さんは後半に顔をしかめる場面もありましたが、トップとわずか6秒差の4位でタスキを渡しました。レース後は足を気にしながらも笑顔。彼女の心の強さには、感服というよりも脱帽です。

(共同通信/2017年11月27日配信)

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