38歳で迎える東京五輪
新米も美味しい実りの秋、9月22日から3日間に渡り、全日本実業団対抗陸上競技選手権が開催されました。大阪のヤンマースタジアム長居へ。私の一番の注目は最終日の女子5000mを走る福士加代子さん(ワコール)です。福士さんは3月に結婚を発表した際、3年後の東京五輪を目指すことを宣言。ご主人はテレビ局の社員で、挑戦し続ける彼女を応援しています。そんな優しいご主人に見守られる中、夏に彼女はニューヨークやチェコ・プラハの10kmレースにたった1人で出かけ、レースをして帰ってくるという、新しいスタイルで動き始めています。
「彼女は本当のたくましさを身につけたいと思っているのでしょう」と、永山監督。そして「あまり英語は話せないけど、大会手続きなど緊張しながらやってきました」と福士さん。プラハではレース前に食べたケバブの影響でお腹が少し痛くなったと笑いました。その表情には落ち着きが増し、余裕が感じられます。
この日、彼女は久しぶりのトラックレースだったため、二組あるうちの遅い組でスタート。それでも、すぐに先頭に立ち、速いペースを刻みます。隣を走る若い野田沙織さん(三井住友海上)に「いけ!いけ!」とハッパをかけながら、ぺースを速めるのでした。最後は、後ろから追い上げられて6位でゴールしましたが、久々のトラックレースを15分台で。「楽しかったぁ」と満面の笑みの福士さんの表情を眺めながら、3年後の東京五輪が楽しみになりました。その時、38歳になりますが、暑い中での北京五輪(2008年)の優勝は38歳のコンスタンティナ・ディタさん(ルーマニア)。東京では福士さんの充実感と経験が花開きそうです。
(共同通信/2017年9月25日配信)
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