ペース守り選考会へ
8月27日に開催された北海道マラソンは、MGC(マラソングランドチャンピオンシップシリーズ)皮切りの大会となりました。この大会では、女子は2時間32分を切っての日本人1位と、2時間30分を切った6位以内の選手が、東京五輪に向け2019年に行われる代表選考大会の出場権が得られます。
優勝したのは前田穂南さん(天満屋)。序盤から積極的な走りをみせ、ゴールタイムが2時間27〜28分になるようなペースで8人が先頭集団を形成しました。ハーフを過ぎて十八銀行の野上恵子さんがペースを上げ先頭に立つものの、前田さんは自分のペースを守り、33km過ぎに逆転。2時間28分48秒で条件より3分以上の余裕をもって優勝したのです。166cm、脚の長さを生かした美しいランニングフォームはマラソン界のシンデレラのようで、ゴールの大通り公園は一段と彩りを増しました。
実は武冨豊監督、以前から青写真を描いていたのです。8月上旬のロンドン世界陸上選手権に出場した重友梨佐さんの練習パートナーに、前田さんを同行。広島の比婆クロスカントリー場で、前田さんは重友さんと共に朝、昼、晩に20kmずつ走るなど、泥臭い練習を行ってきました。「私が前で重友先輩を引っ張る日もありました」と、前田さん。普段はおっとりとしていますが、すごく負けず嫌いなのです。武冨監督は「この泥臭い練習は猛暑の東京五輪で生かされる」と、話していました。
前田さんは天満屋の値札センターに所属。商品につける値札をパソコンで作成しています。「たまに間違えて…」と笑い、趣味を尋ねると困った顔をし10秒ほど考えた後「走ること…です」と。レース中の強気と普段のギャップが面白い選手です。
(共同通信/2017年8月28日配信)
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