世界陸上へ順調な調整
7月2日、「ランナー達よ、進め!」と、土方歳三に扮した女性の号令で始まった函館マラソン。気温25度、海からの風も吹く厳しい環境の中、ハーフの部に重友梨佐さん(29歳・天満屋)が出場。重友さんは8月のロンドン世界選手権の女子マラソン日本代表で、この函館が本番までの最後のレースになります。
「ここまでかなり走り込んできたからね。今日は1時間15分台で走れればいい」と武冨豊監督。その脚づくりのための合宿の練習内容を聞いて、びっくりしました。広島の比婆道三山クロスカントリーコースを中心に5kmを8本行ったり、朝昼晩に20kmずつ1日60kmを走ったり、瀬古利彦さんの選手時代を思い出させるような泥くさい練習なのです。そして、それを物語っていると感じたのは、重友さんの体型。体がグッと引き締まり、太ももの筋肉は大きくなっています。
この日、重友さんは12kmまで先頭で風よけになり、その後粘って1時間14分38秒(5位)でゴール。「脚は重かった。でも今はこれでいいんです。これからアルバカーキ(米国)でスピード練習をします」と、清々しい表情で話しました。すごく落ち着いています。世界陸上の目標を聞くと「2時間25分から26分で、入賞です」と明確。その表情を見ながら、「時満ちているな」と思いました。
’12年のロンドン五輪、’15年の北京世界選手権に日本代表で出場した重友さん。喜びも苦しみも人一倍味わってきました。その経験が、ロンドン世界選手権で全て力になりそう。また武冨さんは「成功すれば、重友がやってきた練習は本人はもちろん、後輩の3年後の東京五輪で生かされる」と。きっと重友さんはそんな使命も力にロンドンを走るのでしょう。
(共同通信/2017年7月3日配信)
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