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おしゃべり散歩道2017

コーチとの信頼関係 力に

 うららかな春の陽ざしが女王を一段と輝かせました。3月12日に開催された名古屋ウィメンズマラソンは、バーレーンのキルワさん(リオ五輪女子マラソン銀メダリスト)が大会記録で3連覇。彼女はゴールテープを切った後、膝まづいて神へ感謝し、それから赤いジャージを着た息子のリッチモンド君(10歳)を抱きしめました。「ママおめでとう、かっこ良かった」とリッチモンド君。ほのぼのとした光景でした。
 「アンドウがいたから大会記録を作れた。彼女は初マラソンなのに本当に凄い」とキルワさんは安藤友香さん(22歳・スズキ浜松AC)を絶賛。ハーフでペースメーカーが外れてから、2人で刺激し合ってゴールを目指したのです。そして安藤さんはキルワさんから33kmで離れた後も、見える範囲で自分のペースを守り抜き、2時間21分36秒という初マラソン日本最高記録を樹立。日本陸上競技連盟が設定する2時間22分30秒もクリアし、夏のロンドン世界選手権の切符を手にしました。「里内(正幸)コーチに心から感謝したい」とレース後に話しました。というのも、安藤さんは豊川高校卒業後、2回の移籍を経験して今のクラブチームに。そこに至るまでの苦労を里内さんに話すと、「移籍が多いのはあなた自身に問題がある。言い訳をしているうちは強くなれない」と本音でズバっと言われたそうです。
 レース30分前、里内さんのすぐ近くにいた私は、安藤さんの右手の甲に「絶対に諦めるな!」と里内さんが油性マジックで書くところを観ました。そして両手にしていた白と赤のリストバンドは、彼女の誕生日に里内さんからプレゼントされたもの。厳しさの中で築いた深い信頼関係が実を結びました。

(共同通信/2017年3月13日配信)

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