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おしゃべり散歩道2016

監督たちの駆け引き

 熱田神宮から伊勢神宮までの106.8kmを8区間で走る全日本大学駅伝が11月6日に開催されました。私はトップ争いをしそうな監督たちが乗るバスで、中の様子をリポートすることに。一番乗りは山梨学院大学の上田誠仁監督。後ろから二番目の左側(左を走る選手を見易い)の席に着き、「今年は鷹の目、鷲の目でレースに臨みますよ」と爽やかに話してくれました。左側の一番後ろの席は駒澤大学の大八木弘明監督。7回も優勝に導いた監督に敬意を払い、皆そこを空けているのです。「うちは一区がカギだよ」と大八木さんは元気満々。そして青山学院大学の原晋監督は左側の席の前から二番目。「海老フライ大作戦を成功させたいな」と笑顔です。大会前からアンカーにエースの一色恭志さんを配置すると話し、「一番美味しい頭の部分を最後に残し、そこまで身の詰まったプリプリの海老が最後にカラッと揚がるようなレースをするよ」と話していたのです。原監督の前には早稲田大学の相楽豊監督はおとなしく座っていました。
 レースは早大3区の永山博基さんが区間賞の好走で先頭に。2位を走る青学は、4区ではトップの早大との差が1分以上。「危険水域だね。海老が揚がり過ぎてカチンカチンになっちゃうよ」と原監督。ピンチの時も明るい人です。早大はアンカーがトップでタスキを受け、2位の一色さんとの差は50秒。相楽監督が後ろを振り向き原監督に「一色はどの位のペースでいきますか?」と尋ねると「何も指示していません」と原さん。「安井さんは?」と私が尋ねると「1キロ3分でと言っちゃいました」と苦笑い。最後は一色さんが逆転し、青学が初優勝。監督たちはそれぞれに味があります。

(共同通信/2016年11月7日配信)

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