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おしゃべり散歩道2016

陸上女子のレジェンド

 涼やかな風が金木犀の香りを運び、駅伝シーズンがスタート。これから中高校生、大学生、実業団の駅伝が次々と開催され、1月の都道府県対抗駅伝まで熱戦が繰り広げられます。京都府女子代表チームを率いる監督は早狩実紀さん。43歳の彼女は故郷のチームの監督を務めるだけではなく、現役にこだわり、9月に行われた全日本実業団陸上でも3000m障害で優勝。「監督自ら、駅伝メンバーになったほうがいいんじゃない」と囁かれるほどです。
 そんな早狩さんに私は、年齢を重ねても第一線で頑張れるのはどうして?と聞きました。すると、間髪入れずに「目標です!」と。常にタイムや順位の具体的な目標を持って競技生活を行っているのです。京都府チームの監督についても「現役でやっているという立場から、後輩にアドバイスしたい」と話します。
 そんなキャリアを積んでいる彼女はリオデジャネイロ五輪の結果について「日本の長距離選手は心の線が細いと感じました。もっと逞しさが欲しいですね」と。全く私も同感ですが、現役選手の早狩さんの言葉には重みがあります。そして彼女は話し方も穏やかで、言葉に贅肉がないのが特徴。生き方の表れでしょう。
 早狩さんは今、一年の半分を米国のアルバカーキで過ごしています。現地で出会ったアメリカのコーチに、他の選手4人と共に指導を受けているのです。自分に合ったスタイルを求めて現実のものとし、結果を残していく。サッカーの三浦知良さんやスキージャンプの葛西紀明さんなど、レジェンドと呼ばれる人に共通しています。そして皆、現役選手として背中をみせながら後輩達に教えているのも同じ。こんな逞しい選手が増えて欲しいです。

(共同通信/2016年10月3日配信)

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