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おしゃべり散歩道2016

リオで活躍、木村敬一さん

 リオデジャネイロパラリンピックの選手達の活躍がお茶の間を熱くしています。4年前のロンドン開催時と比べても圧倒的にメディアの取り上げる時間が多いことが嬉しいです。「金メダルを獲ったら表彰台でサンバを踊りたい」と言っていた競泳の木村敬一さんは、50m自由形と100m平泳ぎで銀、100mバタフライと100m自由形で銅と4つのメダルを獲得しました(9月15日現在)。本人の中には金が獲れない悔しさが残るかもしれませんが、素晴らしい結果だと思います。課題だったスタミナ不足を克服するために、練習では泳ぐ前にエルゴメーターでペダルを漕ぎ、パワー強化のために1日5000kcalの食事とウエイトトレーニングで体重をロンドン時より8kg増やした成果が出ました。
 木村さんとは何度かご一緒したことがありますが、大変ユーモアがあって魅力的な人です。「僕も小説を書きたいなと思っています。増田さんの本が『カゼヲキル』だから、僕は『ミズヲキル』かな」なんておどけます。尊敬している選手を伺うと「ブラッドリー・スナイダー選手(米国)です。僕は物心ついた時から視力がないので見えないことが普通ですが、スナイダーさんは27歳の時に戦争で視力を失い、その1年後のロンドンパラリンピックで金メダルを獲ったんです。強い人です」と話ました。スナイダーさんの健常者として鍛え上げた側面もあると思いますが、見えない恐怖の壁を乗り越えてがんばる姿に木村さんは敬意を払っています。
 リオ大会でも、スナイダ―さんは50m、100m自由形で金メダルを獲得。表彰台で固く握手を交わす木村さんの笑顔が印象的でした。木村さん、次はあなたの番です。

(共同通信/2016年9月16日配信)

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