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おしゃべり散歩道2016

選手に寄り添う応援者

 まあるい顔の紫陽花がまちを彩っています。この時期は8月のリオデジャネイロ五輪に向けて、マラソン代表選手たちは合宿中。最も厳しい練習に励んでいます。福士加代子さんは「金メダルを目指します」と宣言。「彼女の気持ちに応えたい」と話す監督の永山忠幸さんは、福士さんが練習に集中し易いようにと取材を断っています。応援して下さる方々に、経過よりも結果で喜んでもらおうと思っているからです。
 そんな折しも、福士さんの親友の瀬川麻衣子さんからお話を伺いました。瀬川さんは青森県立五所川原工業高校時代の福士さんの同級生で、ソフトボール部に入っていた福士さんを陸上部に誘った人。とても明るい人で、今は東京で働きながら常に福士さんの心に寄り添っています。今年の大阪国際女子マラソンで、福士さんが優勝のゴールテープを切った後、応援団のいるスタンド下へ走り「まいちゃんはどこ」と探していた姿も印象的でした。まいちゃんの顔をみた途端に福士さんは泣いてしまったのです。
 リオにも応援に行くそうです。「いつも加代子が旅費を出してくれます」と。瀬川さんのご主人も理解のある人で、共に福士さんを応援しているのです。「加代子の性格は太陽というよりも月ですね」と瀬川さんは話します。以前は太陽のようにパッと明るかったけれど、マラソンに取り組み始めてからは、月のように静かに光を放ち続けている感じだと言います。じっと耐えることが多くなったのでしょう。福士さんが「金メダルを目指す」と宣言したことについては、「自分のような性格は、口に出さないと取れないと思うと言っていました」と。選手の横には必ず心の伴走者がいます。

(共同通信/2016年6月20日配信)

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