子どもロコモを減らす
紫陽花の大きな葉っぱの間から蕾が顔を出した5月下旬、中野区で「子どもロコモ」の市民講座が開催されました。主催は全国ストップ・ザ・ロコモ協議会。ロコモとはロコモティブシンドロームの略称で、筋肉や骨、関節、神経など、体を支えたり動かしたりする“運動器”に問題がある症状のことを言います。協議会会長で整形外科医の藤野圭司さんは、冒頭の挨拶で「高齢者のロコモの予防活動をしている中で、意外にも子どものロコモが多いことに気が付きました」とお話を。文部科学省もこの問題を重要視し、今年の4月から小中学校での健康診断の項目にロコモ診断が加わったのです。
基調講演を行った整形外科医の林承弘さんによると、現在は子どもの約4割にロコモが見られるとのこと。「廊下での雑巾がけで、腕で支えられなくなって歯を折った」とか「長時間立っていられないので、座って朝礼を行う」など数々の信じられないような事例が紹介されました。その理由として外遊びが減ったことはもちろんですが、興味深いお話が。「大きな理由のひとつに、“ハイハイをあまりさせていない”ことがあるのです」と。親御さんは、赤ちゃんが動き回ると目を離せなくなるので、すぐに歩行器に入れてしまうのだそうです。「ハイハイは全身運動であり、上肢の機能強化、腹筋と背筋のバランス、肩甲骨とお尻の筋肉の発達に重要なのです」と林さんは力説。会場には親子での参加者も多く、皆さん大きく頷きながら聴いていました。
子どものロコモと共に、昨今、働き盛りのお父さんやお母さんの運動不足も問題視されています。こらからは「親子で一緒に汗を流せる」楽しい運動を考えたいと思いました。
(共同通信/2016年5月23日配信)
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