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おしゃべり散歩道2016

五輪出場を懸けた戦い

 天守閣のしゃちほこも金の色を濃くして応援していたでしょう。3月13日に開催された名古屋ウィメンズマラソンは、近年稀にみるデッドヒート。リオデジャネイロ五輪に向けて田中智美さん(第一生命)と小原怜さん(天満屋)が、残り一枚の切符をかけて執念をぶつけ合った戦いでした。制したのは田中智美さん。その差は1秒。笑顔と悔し涙の明暗です。小原さんを指導する武冨豊さんにかける言葉が見つからず、ただ一言「残念でした」と話すと、「これが勝負です。でも小原の走りは日本の後輩達に勇気を与えたと思います」と。日本陸連マラソン部長として、常に陸上界全体のことを考えている人なのです。その後、武冨さんが山下佐知子さん(第一生命女子陸上部監督)に歩み寄り、二人が握手する姿に涙がこぼれてしまいました。1人1人にドラマがあり人生があります。4年に一度の五輪の年は特にそれが浮き彫りになるよう感じます。
 リオ五輪の切符が有力となった田中さんは、2年前の横浜国際女子マラソンで優勝したのに翌年の北京世界選手権の代表に選ばれませんでした。「正直、智ちゃんも私も数日間眠れなかったですよ」と山下さんは話します。そこから気持ちを切り替えて始まった2人の挑戦なので、リオへの思いは人一倍強かったと思います。
 そしてこの日、「ラスト10kmは花道のようだった」とゴール後に笑顔で話した野口みずきさんも五輪への挑戦に幕を閉じました。身長150cmの小柄な体をバネのように使って走る野口さん。座右の銘は「走った距離は裏切らない」、この言葉を体現する努力家でアテネ五輪では金メダル。野口さんはこれからの人生でも金メダルをつかむ人だと思います。

(共同通信/2016年3月14日配信)

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