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おしゃべり散歩道2003

みかん色と北風

 お茶の産地で有名な静岡県で第58回「NEW!!わかふじ国体」(10月25日開幕)が開催されました。「NEW」と付くのは、46年前の「わかふじ国体」に次ぐという意味です。当時の12回大会で静岡県は国体初の地元優勝を成し遂げ、その活躍ぶりは、みかん色のユニホームから「オレンジ旋風」とうたわれたそうです。
 わたしは日本陸上競技連盟の仕事で陸上の会場を訪れました。5万席が並ぶエコパスタジアムは、まるでお茶畑とミカン畑のようでした。全体が緑色のいすの中に、みかん色のいすがウェーブのように並び、とても温かい雰囲気。
 そんな中で初日、少年女子A100メートルの決勝が行われました。「北海道が強いよ。北風が強いよ!」と隣で大会関係者が話すので、てっきり「北風」は北海道の意味だろうと思って注目して見ていました。
 スタートすると、ひとまわり小柄な選手が、際だって速いピッチで歩を進め、トップでゴールイン。電光掲示板に「1位『北風沙織』」という文字が…。「エッ、名前が北風だったの?」。わたしはびっくりして叫び、周りの人たちに大笑いされてしまいました。彼女は、夏のインターハイでも優勝した有名な選手だったのです。それにしても、何とりりしい名前なのでしょう。
 走り終えた彼女に真っ先に名前のことを尋ねました。すると「わたしが生まれたとき、両親は南沙織さんの大ファンだったようです」と北風さんの小さくキュートな顔がほほえみました。小学4年生までバスケットボールをしていたそうです。そしてこの日、少年男子A100メートルでも北海道の品田直宏選手が優勝しました。「北海道は強いね」と北風さんに言うと、「北風旋風です」と。強くておちゃめな選手です。

(共同通信/2003年11月5日配信)

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