脚力と技で勝利もカタく
さあ、水から陸へ。世界水泳選手権での日本競泳陣の活躍は、開幕を23日に控えた世界陸上の日本代表選手たちを熱くしたはずだ。
舞台は、花の都パリ。先月、マラソンコースを試走し、路面の硬さに驚いた。シャンゼリゼ通りやコンコルド広場など、石畳の割合は、42.195キロ中およそ5キロで、過去の世界大会で最長。しかも、アスファルトの下も土ではなく、石だという。
なんでも、1968年の「5月革命」の時、学生たちが石畳の石を投石に使い、怒った政府がアスファルトをかぶせてしまったのだそうだ。
そんなだから、このコース、勝つには脚力だ!
マラソンに3人の代表を送り出す中国電力の坂口泰監督も、「中間点を過ぎたあたりで足にくる。後半に勝負できなくなるよ」。脚力強化のため、選手たちはひたすら起伏が激しい砂利道を走っていた。
「靴の力を利用してもらわんとなあ」と話すのは、靴職人の三村仁司さん。シドニー五輪で高橋尚子さんが優勝した時のゴールドシューズを作った人だ。今回も10人のマラソン代表中、8人のシューズを手がけた。
三村さんによると、石畳では、路面からの衝撃がアスファルトの倍もある。そこで今回のシューズには、衝撃吸収用に開発された軽くて戻りのよい新素材の中敷きを採用している。
悩ましいパリのコース。日本の努力や技術が勝るかな。
(朝日新聞/2003年8月9日掲載)
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